破壊的リーダーシップのリーダー中心論的研究:特性論(1) 4.マキャベリアン 2)マキャベリアンと破壊的リーダーシップ

1)マキャベリアンの下位概念(外部リンク1)

2)マキャベリアンと破壊的リーダーシップ

一般的なマキャベリアン検査に加えて、リーダーのマキャベリアニズムに焦点をあてたモデルも考えられています。たとえば、Kesslerら(2010)はマキャベリアンの特徴を3つの下位要素(尺度)で表現しています(引用文献1)。彼らの提案した検査は組織マキャベリアニズム尺度(Organizational Machiavellianism Scales)と呼ばれ、

・権力維持 (maintaining power)

・管理方法 (management practices)

・操作性(manipulativeness)

の3つの尺度からなっています。この検査ではそれぞれの尺度を測定するために、職場での状況が考慮されたいくつかの文からなっています。1つだけ例をあげると、「操作性」の測定では、「親切に見える方法を学び、それを自己の利益のために使うべきだ」という文があります。このような文に強く同意する人はマキャベリアン得点が高いことになります。Kesslerら(2010) によれば、最初の2つの尺度は5因子モデルの誠実性[外部リンク2]と正の相関を、非生産的業務行動[外部リンク3]とは負の相関があることを示しました。また3番目の尺度は誠実性とは相関がなく、組織的市民行動とは負の相関をしめしました。リーダーシップという観点から見ると、「権力維持」と「管理方法」の尺度が示すマキャベリアンの特徴は否定的に考える必要はないかもしれません。しかし、「操作性」の尺度は部下に虐待的な監督をしても構わないとする考えと正の関連を示しています。この関係は、マキャベリアンである指導者は権威主義的になりやすいというデータと一致しています。

マキャベリアンが常に周囲に対して常に「血も涙もないような」振る舞いだけをするわけではありません。最近の研究(引用文献2)では、マキャベリアンが破壊的な行動を示すかどうかは、周囲(企業文化)に依存することが報告されています(De Hoogh Den Hartog, & Belschak, 2021)。この報告によれば、会社の方針や規則を遵守しなくてもよい倫理性の低い企業文化か、あるいは自分の利益のために他者を利用しても構わない道徳性の低い企業文化では、マキャベリアンの反社会的行動はより起こりやすくなりました。これらの企業文化ではマキャベリアン得点の高いリーダーは侮蔑的管理を起こしやすく、その結果部下の組織市民行動は減り、部下の感情消耗が増加することが判っています。逆に倫理性の高い企業文化や道徳性の高い企業文化ではマキャベリアンは侮蔑的監督をおこさず、部下の組織市民行動の低下や消耗感情を引き起こしません。この結果は、マキャベリアンは「周囲が認めた外的な基準」に従うという考えと一致します。