反-破壊的リーダーシップ メディア研究所」開設のお知らせ
「反-破壊的リーダーシップ メディア研究所」(Non-Destructive Leadership Media Lab、以下N-DL ML)開設のお知らせ
先日来、この経営インフォメーション文京で「心理学と経営」というコラムを書かせていただいておりましたが、今回Linkedinで「Non-Destructive Leadership Media Lab」(略称 N-DL ML)を立ち上げました。経営インフォメーション文京さんのご厚意により、N-DL MLでの投稿内容を、本コラムとして掲載させていただくことになりました。今までのコラムと内容や表現が被ることがあるかとは思いますが、よろしくお願いします。以下がLinkedinでのN-DL MLの開設のお知らせです。
本研究所は“反―破壊的なリーダーシップを通じて健康な組織・企業を作る”ための情報を、インターネットを通じて発信していくことを目的として開設されました。ここでいう健康な組織・企業(healthy organization/company)という概念は、1人1人の肉体的、精神的な安全が守られる組織・企業のことを意味します。同様の概念は社会全体としても、公的機関や研究機関でも考えることができます。1960年代に健康な組織という概念は、“組織”に向けられていました。たとえば、「問題を解決し発展を続け長く存続できる組織が健康な組織である」という風に。このところこの概念が組織だけではなく、そこで働く人々へも向けられるようになったのです。
本研究所は健康な組織・企業を作るための第一歩として、破壊的リーダーシップ(destructive leadership)の概念について発信します。破壊的リーダーシップとは、大まかにいえば、「リーダーが周囲を巻き込み、結果として構成員と組織に否定的な結果を生む一連の過程」(ホシン・下野、2022)のことです。ここでいう「リーダー」は必ずしもトップリーダーだけではなく、下位組織のリーダーも含まれます。北米、ヨーロッパ、アジアではこの概念について比較的多くの研究が行われていますが、われわれが知る限り、日本ではあまり行われていません。ですから、破壊的リーダーシップに関する研究内容を日本語で発信することは、国内の健康な企業を増やすことになり、結果としてこの国を健康な社会にすることに貢献できると考えています。われわれは、「破壊的なリーダーシップは好ましくない」という考えが広がっていくことを期待しています。
世界的に考えると、この概念が注目され始めたのは10数年前からのことです。たとえば検索サイトの1つ Google Scholarを使って、2000年以降2020年まで年毎に”destructive leadership” を検索すると、ヒットした論文数は図1のようになります。もちろん図で示された論文数は、“destructive leadership”に言及した
論文の数であり、その数は研究そのものの数と合致するとは限りません。しかしながら、研究者の興味を示す指標として考えることができます。図から明らかなように、2010年前後に論文数が急激に増加しています。研究者を破壊的リーダーシップ研究に向かわせた要因の1つには、2001年のエンロン社、2002年のワールドコム社などの粉飾決算にみられるように、非倫理的、反社会的な行動を示す組織、あるいはリーダーがそのころから目立ってきたからと思われます。粉飾決算をするようなリーダーに率いられている企業では、彼らの反社会的で非倫理的な行動はなかなか表に出にくく、さらにその行動が部下にも伝わり、反社会的な行動を許容する企業文化が生まれてきます。そしてその行動が表に出たときは破滅的な結果が待っていることになります。当研究所ではそのような結果を生まないためにわれわれができることは何なのか、なぜ反社会的な人物がリーダーになれるのか、どのような条件が彼らをリーダーにするのか、というような話題について随時発信していく予定です。
