破壊的リーダーシップのリーダー中心論的研究:人格特性論 1.人格特性論 2)心理検査について

1.人格特性論

1)破壊的リーダーシップ研究のいろいろ

2) 心理検査について

心理学では一般に、暗黒面を含め人格特性を心理検査で測ります。DTも同様に心理検査で測定することがほとんどです。そのために測定法の特徴を知っておくことは、検査結果を理解するために重要ですので、ここで簡単に説明しておきます。

広く受け入れられているDT検査は本人やその周辺の人々に対してDTの特徴に関連したいくつかの質問をする方法です。このような検査は質問紙法と呼ばれます。DT質問紙法では、質問に対する答えからDT得点を計算します。図2にテストの得点とその得点を取る人数(頻度)の関係を示しました。図に示すように、暗黒面の得点の非常に多い人、非常に低い人は少数で、平均的な得点の人が多くなります。DT得点の高い人が暗黒面を持つ人ということになります。

ただし検査結果の解釈にはいくつか注意が必要です。まず検査というのは測定ですから誤差があります。測定が複数回行われれば、その平均値は本当の値(真値)に近づきます。そのために検査結果にもとづく集団の行動特性の記述や予測は比較的正確です。    一方で一回測定しただけの個人の暗黒面得点の解釈には注意が必要です。測定誤差が含まれるからです。測定誤差を減じるためには測定を繰り返すか、別のDT検査を行う必要があるでしょう。またDT得点の何点以上が危険である、という明白な基準を作ることも難しい問題です。さらにDT検査の結果は、DT得点を示すだけで他の人格特性は測定していないので、DT得点だけでその人物を理解したと考えるのは好ましくありません。

というようなことを理解した上で、次稿以降、それぞれの特性の高いリーダーの問題点について見ていきます。DTに関連した用語のうち、サイコパスとナルシストは精神医学領域でも使われますが、破壊的リーダーシップ研究で問題となるのは,精神障害として扱われるような重篤な症状ではなく,サブクリニカルな(やや病的ではあるけれど,必ずしも治療を要するほどではない)人々の特性です。